今、世界では欧州債務危機が世界中に広がり、株式などの金融商品よりも安全と見られていた国債の信頼性が脅かされています。莫大な公的債務を抱える日本にとってこの債務危機は対岸の火事と考えていいのでしょうか?
欧州では信用不安で流動性が低下し、ユーロ圏最強国のドイツでさえ影響が出てきています。現在、日本国債は欧州危機の資金逃避先になりつつありますが、日本の公的債務残高は国内総生産比で200%に達し、イタリアの120%をはるかに凌ぎます。国債通貨基金はその報告書で日本国債に対して、著しい財政不均等により突如として利回りが上昇する恐れがあると指摘し、またある格付け会社は、現在こそ家計貯蓄の減少を民間企業の貯蓄が相殺しているとしながらも、日本企業が長期的に資金を積み上げる公算は少なく、民間セクターの貯蓄減少が長期化した場合には、日本は経常赤字国に転落すると予想しています。そうなれば海外に借り入れを依存し始めることになり、国債利回りが急上昇する可能性も高まりかねないということであり、日本国債のリスクは間違いなくある訳です。
しかしその一方、現場である円債市場では国債を支える需給構造に変化が出たわけではないとの見方が依然、コンセンサスになっている模様です。継続的に1兆円を超える所得収支があることから、経常収支は黒字を当面維持できそうであり、また国内企業や国内金融機関は金融緩和などを背景に潤沢な資金を有していることから、資金需要が低迷する中では、資金は国債に回りやすく、生保なども国債重視の運用方針を継続していること、さらに国民負担率が相対的に低いことや、これまでに増して消費税増税議論が行われるようになったことが、増えすぎた国債消化を支える要因になるのではないかと見ているようです。
実際のところ、海外勢が日本国債を選ぶのは対外純資産やその背景にある経常収支の黒字を評価しているためです。現在の金融環境下では、日本国債の安定性はリスクマネー流入で不安定な動きを繰り返す金に対しても安定的で、日本の10年長期国債利回りは欧州問題が深刻化しても1%程度の小幅な動きと、ボラティリティの低さが目立っており、一部では日本国債は資産の安定度で金を上回るのではないかとも言われています。
しかし裏を返せば、高い経済成長を見込めない日本の国債はいい意味でも悪い意味でも安定しており、まるでキャッシュのようなものだと言うのが本質的な理由だと思われます。
過度な心配はしなくても良さそうですが、国債を買う理由が成長の無い日本経済だというのも悲しいものです。


